2009.5. 新型Z4試乗


立て続けに新型Z4のZ4sDrive23i (以降23)、Z4sDrive35i(以降35)turboの二台を試乗してきました。
35の方は、動力性能をより確かめるために、高速道路で一時間ほど運転してきました。
なお、試乗は非常に人気で、休日では20分刻みの試乗だそうです。
クルマの雰囲気しか味わえませんので、本格的に試されたい方は平日の試乗をお奨めします。

   
  モデル   エンジン    ミッション            馬力・トルク    重量  ハンドル   タイヤサイズ            
Z4sDrive23i  2500ccNA    トルコン6AT            204ps, 25.5kgm 1505kg RHD           225-45-17
Z4sDrive35i  3000ccturbo デュアルクラッチツインペダル7速 306ps, 40.8kgm  1600kg  RHD or LHD  225-45-17(F) + 255-40-17(R)

  モデル   価格              装備                                             
Z4sDrive23i  523万円(車両本体税込み)  純正でナビなど一式ありトルコン6AT    
Z4sDrive35i  695万円(車両本体税込み)  純正でナビなど一式あり+レザーシート、電動シート、クルコン、パークディスタンス  

という感じです。

試乗した結果を一言で言いますと・・
 「987ボクスターとは全く違う」
 「オープンであれば良い方は23を。少しでも走りの要素が欲しい方は35を。」
 「先代Z4とほとんど違和感無く乗れ、正常進化。但し一部、違和感のある場所も?」
すみません三つになっちゃいました。


今回のBMWのプロモーション活動をみていると、「女性がデザインして、作ったクルマ」という言葉が山ほど出てきます。
海外では、男性は関わっていないとさえ言っています。BMWのような大企業で、本当かどうか分かりませんが、
そういうのも売りになる時代なのかなぁ、と思います。

外装 Exterior

では、そのexteriorはいかがでしょうか。


ちなみにこれが先代のZ4。今見ても悪くないデザインだと思います。


新型。白。


今回からはメタルトップになりました。それにともなってお客さんも増えたようです。
よくみると、凹凸のあるプレスラインが複雑にからみあった、複雑な形をしています。実車でみないと
わかり辛いのですが。


最初は、「ずいぶんげっそりとやつれた印象だなあ・・」と思いました。
ネガのラインがあるのでそのように感じるのかも知れません。


シャンパンがかったシルバーです。


リヤ。いずれにしても、前後ともにBMWだとすぐに解るデザインです。


光るサイドマーカーは撤廃されました。BMWエンブレム、排気量エンブレム、サイドマーカーと少しビジーですね。


このウィンカーの樹脂パーツはちょっといただけない質感ですね。


黒。オープンの状態だと、また、イメージが違いますね。


リヤフェンダーで複雑に交差するプレスライン。


フロントフェンダーには強烈なえぐりこみもあります。評価がわかれるところでしょうか。


ここからのアングルでは先代と似ていますね。

 


さて、このデザインをどう評価しましょうか。

僕は基本的にデザインは直感的な好みはありますが、それを一般化できるとは思っていません。
というわけで、今回の評価はしません。多数の画像を元にみなさんがご判断下さい。

ただし、「写真と実車は違う」「プレスラインが先代・他車と比べて複雑」
「大きな凹もありやせてみえる時もある」「複雑に絡み合って面白い」などは事実です。


やはりオープンといえば開閉機構!ということで動画を撮影してきました。
AVIファイル4.2MBです。ダウンロードするかクリックして下さい。

開閉にかかる時間は20秒ほど。なかなか剛性感のある動きで、クローズドの時の、余計な隙間はありません。
ランボルギーニとはエライ違い。20秒は決して早いとはいえません。時速4km以下でしか作動しませんので、
信号待ちで開閉するときはちょっとしたスリルが味わえます。これもオープンの醍醐味ということですね。

ちなみに、クローズドにしたときは、通常の幌よりも圧倒的に静粛性が高いです。

内装 Interior


アルミ(風?)素材のこのデザインも先代踏襲です。ボクスターとは対極ですね。
全てがBMW仕様ですので、BMWからの乗り換え時の違和感はありません。


なお、今回からはナビは標準装備です。評判の悪いナビは画面は広くなってみやすくなりましたが、
それでも今の一般的なナビにはまだ追いついていません。


メーターは280kmスケールですが、純正タイヤのスピードレンジの問題で、230kmでリミッターがかかるという噂です。


ミッションは手元でも操作できます。手前でシフトアップ、奥がダウン。
そして面白いのは左上の、パーキングブレーキが電子化されたことです。
デフでロックするようです。


そしてハンドル。なんだこの見慣れない形状のパドル?ボタンは?


左右それぞれでup-and-downかと思いきや、なんと両側同じ動作で押し引きでup-and-downします。
評判の良くないPDKと類似した方式です。

さらにややこしいのはBMWはキックダウンスイッチがついており、Mモード(ギア固定)でも作動します。

これは2ペダルMTで問題になるのですが、35モデルでつまり、7速巡航時から、全開で二段加速しようとします。
アクセルを一杯に踏んで、シフトダウンしようとすると、、、既に2速・3速まで一気にギアを飛ばしてシフトダウンし、
加速が終わるともとのギヤに戻ります。

さらに、レブに当たりそうになっても勝手にシフトアップします。

つまりMモードは完全なギア固定ではない上に、キックダウンスイッチがあり、さらに自動復帰もします。
このロジックは非常に混乱しがちで、僕も一時間の試乗でも慣れませんでした。

ただし、Dモードで走る時は合目的的です。必要な時はキックダウンスイッチでギヤ飛ばしてシフトダウンして加速、
加速が終われば元に戻る、という感じです。

元々、僕の嫌いなキックダウンスイッチですが、今回の2ペダルモデルで必要だったのでしょうか。
僕なら、スイッチの配線を外してキャンセルするでしょう。
毎回、全開時に、スイッチを踏まないようにアクセル全開にするというのは鬱陶しいですから。


ちなみに異常に寝ているAピラーですが、乗り降りや視界などには特に違和感を感じませんでした。


開けるとこんな感じです。

ユーティリティ


これはシート裏のスペースで、薄いカバンやジャケット、財布が置けるようになっています。
こういうのは本当に便利ですよ。2坐に乗ってみると分かります。


そしてなんと、ISOFIX(チャイルドシートのアンカー)が標準装備でした。
当然、エアバッグキャンセラースイッチもついています。ポルシェにはありません(オプション)。
子供もどんどん助手席に乗せて下さいというわけで、日本車とはかなり異なった思想です。


屋根をしめると、トランクは当然狭いです。


しかし、小さな持ち運びスーツケースは入ります。


クローズド時。海外旅行用のトランクは無理です。
ゴルフバッグはオプションのトランクスルー(といっても小さな穴)でかろうじて入るぐらいです。
ボクスターが前後のトランクが広いこと。ケイマンはさらに広いことを考えると、
Z4のこの狭さはかなり覚悟が必要です。旅行に行くときには、オープンには出来ないと。
となると、オープンの意味が無いのでは?結局、一坐なのでは?
と一瞬思ったりもしました。


そこら辺でこの車との棲み分けはどうなんでしょう。
335iカブリオレ。800万円ですから、35から約100万円アップで、本当に広いリヤシートとトランクがついてきます。
エンジンもミッションも同じ。ただし、車は重いですから、Z4のような軽快感は無いということになりますが。


この広さに僕は少し衝撃を受けました。911は目じゃないですね。
正直、一番、今回のディーラーに並んだ車で一番興味がありました。

動力性能

あとは、走ってなんぼ!ですね。試乗体験記です。


最初に乗ったのは23モデル!


タイヤはDUNLOP SP SPORT 01。聞き慣れないですが、よく考えたらランフラットでした。

走り出して、すぐに気づきました。シフトスイッチに対する反応が早い!
以前、早いと感じたIS-Fとほぼ同等です。最近のトルコンATは良くできていますね。
ただし、ダイレクト感のようなものはありません。

加速性能については、「まあまあ」でしょうか。ボディの重さを感じますので、一般的にはアンダーパワー
ではありませんが、きびきび走るわけではありません。エンジン自体はフラットトルクで上まで廻りますので、
丁寧に廻していけばそれなりに走るのですが。

ここに興味深い車内向けの比較資料があります。

Z4 23          204ps 0-100km 7.3sec
SLK 230      184ps 0-100km 7.9sec
TT Roadster 200ps 0-100km 6.5sec

じつはすぐ直後にTTに乗ったのですが、そちらの方が、軽快感もあり早さを感じましたが数字の上でも合っているようです。

ハンドリングはクイックではなく、左右にふってみるとかなり鼻先の重さを感じます。
ステアリングも重めですが、高速走行で直進安定性が高い事は解りました。


さてこのあとはおまちかねの35モデルです。


タイヤはPotenza RE050のランフラット。

先ほど述べた、シフトチェンジのロジックには戸惑いますが、エンジンは気持ちがいい!
135iでも素晴らしいエンジンだと絶賛しましたが、フラットトルクでどこまでも伸びていきます。
1速、2速、と全開にしてシフトアップしていくと、相当な到達速度(といっても100km♪)まであっという間に到達します。

Z4 35          306ps 0-100km 5.1sec
SLK 350      305ps 0-100km 5.4sec
PDK Boxster 255ps 0-100km 5.2sec (この馬力と価格帯で早い!)

先ほどの資料はこのような感じです。まあ、ボクスターよりはSLKと比較する車のようですね。
実際に、体感速度もこの通りで、爆発的ではないものの、十分に「スピード感」も味わえます。
オープンにしたときの排気音もなかなか良質で迫力があり、純正マフラーで十分と思いました。

シフトのダイレクト感は強く、ミッションがかなりクロスしていることもあって、頻繁にMモードでシフトしても、
Dモードで走っても、楽しめます。Dモードでは床まで踏むと一瞬で7速から2,3速に落ちて、レブ寸前まで使って
加速します。Mモードではここまで早く操作出来ませんし、ギヤ飛ばしもできません。
実はDモードで走るのがある意味正解、なのかも知れません。

オープンにしたときのターボのエンジン音はなかなか気持ちがいいです。直列6気筒も悪く無いなぁ、と思いました。

一方、ハンドリングですが、23と同様で低速ではかなりダルいです。
高速でのレーンチェンジでも、操舵してからクルマが向きを変えるまでにワンクッションあるような感じがしました。

ここら辺は、比較対象をミッドシップのケイマン、軽量FFのTTクーペにしてしまうと厳しいのですが、
あえて、「FRらしい」という表現をすることもできます。
しかし、同じエンジンの135iは電子デバイスオンでもテールが出まくりでしたが、Z4は決してそんなことはありません。
車重の違いに加えて、細かな、味付け、剛性の違いもあるようです。

とある、Rの大きなコーナーがあるのですが、いつもはアクセル全開で通過できます(ボクスターもエリーゼも出来ました)。
テールが少しぐらい出ても(電子デバイスの助けを借りながら)普通にボクスターであれば全開でクリアしていけました。
しかし、新型Z4ではテールが出る以前に、何故か破綻することに非常に恐怖を覚えて、アクセルを踏み続けられませんでした。
実際に、あそこでアクセルを踏み続けていたら、電子デバイスの介入があっても接触事故につながっていたかも知れません。

どうしてでしょうか?

原因ですが、姿勢変化が大きかったこと、ステアリングインフォメーションが少なかったこと、などもあるのですが、
基本的にはボディ剛性の低さではないでしょうか。

コーナーでボディが応力に対して曲がっていき、サスペンションなどと協同作業でコーナリングは成立します。
しかし、今回のZ4では、ボディへの入力に対する曲がりが大きく、タイヤの限界が全く読めず(ランフラットのせいもあるのか?)、
限界がどこにあり、それを超えたときにどのように制御できるのか、僕にはよく分かりませんでした。
結果、僕には峠で全開で振り回すことは出来ないと思います。ボクスターでは簡単なドリフトも、Z4は難しいでしょう。
矛盾するようですがFRらしさを感じますが、限界を超えてテールを振り回して走ることには恐怖感の残るクルマでした。

今回のZ4はハードトップにするのに重量を使い過ぎ、300馬力に必要な剛性を十分に上げられていないのかも知れません。
まあ、オープンカーで富士スピードウェイのような高速サーキットを全開にする事も無いでしょうし、
(横転したら確実に死にますので絶対に出来ませんし、おすすめしません。ロールバー入れてからにしましょう。)
普通に街乗りや、高速で直線を飛ばして走っている分には関係の無い話です。
最高速はリミッターが介入して230km程度のようですが、ランフラットタイヤのスピードレンジにあわせてある以外に、
ボディ剛性からくる限界を230kmに引いているのかも知れません。250kmは優に出るエンジンですが・・・。

インプレッション

さていかがでしたでしょうか。
オープンカーは比較するモノでは無い、というご意見もありますが、敢えて比べてみましょう。
僕が一番よく知っているのはボクスター。明らかにボクスターの方が安く、早いです。
コーナーの限界特性も、車重が軽く、ミッドシップなので圧倒的に有利です。
動力性能については、素のボクスターと35モデルが同定度の加速をします。
35モデルの乗り出しは800万円。素のボクスターに少しオプションを付けると700万円ぐらい。
ボクスター+PDKでSportPLUSで全開にしたときのような「キレ」はZ4にはありません。
しかし、快適性はZ4が勝ります。クローズド時の静粛性は上です。収納スペースは圧倒的にボクスターの勝ち。

というわけで「スポーツカー」であることを求めればボクスターに魅力を感じるでしょう。

しかし、ハードトップであることに意義を感じる方はZ4に惹かれるかも知れません。となるとライバルはSLKですね。
SLKですが、僕はあまりSLKに詳しくありません。というわけで、そのうちSLKも試乗してみます。

では、僕のオープンスポーツカーのお奨めは?

ポルシェファンですし、早くて安いボクスターはValue for Moneyでは素晴らしいクルマだ、というのは僕の持論です。
しかし、もう一つの選択枝はAudi TT Roadsterです。2リッターターボで鼻先が軽く、すいすいと曲がるFFは
とても楽しめます。TT Roadster 496万円, TT coupe 444万円はなかなか良い価格です。
TTS coupe 687万円は少し高すぎますが。

Z4に関しては、動力性能を追求されず、ハードトップに魅力を感じる方であれば23モデルで良いでしょう。
しかし、35モデルとの動力性能の差は歴然としています。
非常に35のトルクフルなエンジンに2ペダルMTの組み合わせはなかなか良いです。
しかも楽!これなら通勤に使えます。

では、数あるオープンカーの中で新型Z4を選ぶ理由は?
これは個人の嗜好になるのでよく分かりません。
セキュリティなどでハードトップを重視されるかたには、SLKとの一騎打ちでしょう。
しかし、ソフトトップを視野にいれれば、ボクスターよりZ4を選ぶ理由は、今の所見あたらないというのが、
ポルシェ信者の僕の個人的感想です。

SLKとの勝負についてはSLKを試乗するまでにお預けにしておきます。


世田谷を走っていたら、厳つい顔のSLがあらわれました。新型のSL63です。こういうのもいつかはいいですね!


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