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emergent call record
事件記録簿 / Jichi Med Univ(JAPAN)
image00 自動車横転

現場 住宅街片側1車線交差点
時間 2020年 9:00


・発見

家をでてすぐ、なにせ、最初の交差点で軽自動車がみごとに横転している。
右直進事故で、スピードがでていた軽自動車のほうがひっくりかえったようだ。
普通自動車はフロント大破。軽自動車のそばに女性一人が座り込んでいる
朝のラッシュ時で、立ち止まってる人も何名かいる。

・処置

自動車を交通障害にならないようにとめながら、
座り込んでいる人に話をかけると、横転した軽自動車から自分で脱出したと。中年女性。
動揺がひどいが、おどろくことに軽い擦過傷のみで骨折など一切なし。
自動車はエアバッグが全部ひらいているが、ボディシェル構造が保たれていた。
最近の軽自動車は、高張鋼板により剛性がものすごく高い。
ひっくり返った車体からは黒いシミが地面にあり。

軽自動車は同乗者はなし。確認するとバイタルも問題なしだが動揺している。身分を明かしてなだめる。
普通自動車のほうは、ケガなく、110番通報はしたばかり、と。
しばらく、取り乱した女性をなだめていた。
結局、今回はバイタル確認のみで処置はしなかった。

現場の交通整理をそのあとしていた。特に、交差点を通過する自動車が不用意に近づくので
散乱してるガラス片がささってパンクしないとか、安全確保のために、遠ざけていた。
一般ドライバーは、好奇心なのか事故車両に近づくことがとても多い。

また、僕が医者であることをあかすと、「じゃあ大丈夫」といって、見物者の大半が
出勤に戻っていった。現場の交通整理の協力するとか、ゴミをある程度寄せるとか、
やれることはたくさんあったはずだがなあ。

10分ほどで救急隊と警察が現着。
警察は、まっさきに自動車からでている液体がガソリンでないことを確認していた。
そうか、そのリスクは考えていなかった。てっきり冷却水だと思いこんでいたが、
ガソリンタンクが破壊されてる可能性もあった。次は確認するようにしよう。


・反省
あたりまえだがエアバッグとシートベルトはするものだ。
そのあと、交通法医学のひとの講演を聞く機会があったが、
両者をしているかどうかで外傷は相当変わるらしい。また、してないのに
「してました」とウソをついても、外傷の具合でかならずばれるようだ。
いまは、「妊婦さんが謎の理由でベルトをしてないことが多い」のをやめさせたい、といっていた。

事故車両からガソリンがもれて引火することは、構造上現代では相当まれだ。
とはいえ、かならず確認する癖をつけよう。発煙筒をたいたりするし、何があるか、わからない。

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