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emergent call record
事件記録簿 / Jichi Med Univ(JAPAN)
image00 空飛ぶ自動車

現場 東京郊外 田園エリア 片側2車線
時間 2020年 18:00


・発見と事故状況


出張を自分の車でいっていた帰り。夕立ちで大雨+夕方で視界が悪いのに、
みんな飛ばすなあとぼんやりおもっていた。 夕方のラッシュですこし交通量は多め。

左側前方より、側道から右折しようとウインカーをだしてる軽自動車が見えてきた。
右折しようとしてる道路には50cm程度の中央分離帯があるのに。
僕が「え!」と思った瞬間、ドライバーのおばさまは「今ならいける!」とアクセルを踏んだ。

自動車は馬力の小さい軽自動車で、助走はたかだか数メーターだったが、ちゃんと空を飛んだ。
現代の自動車の加速性能と、自動車軽量化、の素晴らしさによって。 ドーン!

そのあと、中央分離帯を超えてからさらに加速し右折?。
歩行者歩道にのりあげる。ドカーン、そのまま停止。

事故処理はたくさんしても、事故の瞬間をみることはほとんどなかった。
僕は、そのまま、ユーターンして、事故車のうしろにハザード停止、現場にむかう。

・事故処理

ドライバーは呆然とし、携帯を握りしめてフリーズしている。
「大丈夫ですか。痛いところはないですか。」
「ああ、はい、はい。すみません」

よくみると、そもそも彼女は、オートマギヤをDレンジのままフットブレーキで停止してる。

「まず、ギヤをパーキングにしてサイドブレーキをひきましょう」
「発煙筒とりだして使いますからね」
「痛いところは本当にないですか?」
「僕、お医者さんですからね。痛いところないかさわって確認しますよ。」
「はい。本当にすみません。どなたさまでしょう。」
「通りがかっただけですよ。もう心配いらないですよ」

歩道にかなり乗り上げているし、外は大雨。 あまり周囲の交通速度も早くなかったので、
僕の停止した自動車である程度ブロックして、安全確保した。
本来であれば、車外に誘導するところだが。
自分の車には、三角表示灯があったので提示しておいた。足が折りたたみになってて、ちゃんと自立してくれる。

今回、110番通報はドライバーが行った。パトカー・救急車の現着には時間がかかった。
その間に、パニックをおさめる。

「保険会社はどこですか。車検証にはさまってるんで、みてみましょう。」
「ここで、、」
「じゃあ電話をしましょう。事故があったことと、自損で自動車が動かないことをつたえてください。」

「ご家族と連絡はとれますか」
「はい、すこし離れたところで主人が勤務中で、つながるかどうか」
「とりあえず、電話しましょう。どんなかたちでも迎えに来もらうことになります」

「自動車の購入会社は近くですか」
「はい。近くです。」
「レッカーの手配をしてもらえることもあるので電話してみてはどうですか。まだ夕方で電話かかるかもです。」

現場でやることはとても多い。
この時に呼ばれるレッカーは民間会社だ。 警察が呼ぶとしてもあとで費用請求される。
保険会社が払うことが多いが、この代金でトラブルになる事例もある。何十万ってかかることもある。
修理工場に入庫させないと、レッカー会社に保管料をとられることもある。
たとえ、警察が呼んでも、その業者が適正とは限らない。現場の電話で保険会社に連絡相談しておくことが大事とおもう。
ディーラーに直接入庫できてそのまあ修理手配できたら、一番安い。修理に難しい輸入車なら、なおさらのこと。

到着した警察が、一通り調書をとったあと、 ドライバーが希望したので、救急搬送されていった。
ちなみに、ここで救急車に乗るかどうかも本人の意思できまる。
警察官は、「なんかあったときのためにとは思いますが、最終的に自分で決めてください」というので、
ことなかれの人は、乗ることが多い。でも、実際は自分があとで、当日救急外来受診しても、処理上は変わらない。
大きくかわるのが「現場に自動車や持ち物を放置していくことになる」こと。
しらない搬送先病院で、携帯・財布だけで診察終了になるので、最後はとても不便。タクシー呼べばお金かかるし。
事故のときに、「なんでも周りがやってくれる」と思ってると、どんどん追加のコストがかかる。
任意保険でカバーされるものもあるが、自分・友達・家族ができることはやってしまった方がいいみたい。

・協力者の位置づけ
調書には誰の連絡先を記載するのだろう。当然、自損・他損ともに、当事者の個人情報を記載する。
一方で、当事者には事故処理番号しか通知されない。
保険交渉のために、実際には、連絡先をドライバー同士が交換する。
相手の保険会社の名前も相互に教えあう。

通報したひとについても、調書に記載する欄がある。
人身事故を目撃した人は、やはり調書に連絡先を記載することになる。
刑事事件だからね。でも、 警察の仕事はここまでだ。

現場で協力した人については、記載することはない。
もめそうな事例については、警察官が機転を利かせて聞いてくることがあるが、あくまで例外。
個人情報を不用意に聞かないように、警察官は教育されてるようだ。

ここ数年では、通報したときに「あとで事件の結果を知りたいですか」と聞かれる。毎回断る。
通報者への情報バックも警察の仕事らしい。ほんと、同情する。。大変。
「そのあと連絡もなしか!」と、文句を言う通報者がたくさんいるのだろう。

となると、「協力者に表彰状」というのは、ますますありえない事態だとわかる。
協力者が自分で、メディアに連絡しているとか、警察が広報に使いたいとか、いろいろ政治思惑がないと発生し得ない。
報道事例が「特定の会社が協力しました(コンビニが多い)」とか、「若者がえらい!美談!」とかに偏ってるが、そんなことは当然あり得ない。
警察の情報リークはいつも恣意的だなあ。

つまり、どんだけ下手な心肺蘇生をして、ろっ骨を折ってしまっても、現実に責任を問われることはない。
「訴えられることがあるかも」みたいな発想で、現場に近づかないこと自体が、無責任だし、義務放棄だろう。
仕事ができないアホ弁護士(たくさんいる)ほど、「訴えられることがある」っていうだろうけど、
世の中は、民間の弁護士の判断じゃなくて、司法(判例)・行政(政治)で動いてる。
日本政府が、善意のひとをあえて訴追することは、ほとんどなかった。(それも信じないなら国民やめてくれ)。
僕は、そこまで右派の人間じゃないけど、それでも、一定の協力は政府にすべきという立場。

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