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emergent call record
事件記録簿 / Jichi Med Univ(JAPAN)
image00 スノボ+代行 右折vs直進事故

現場 50号・4号の交差点
時間 2020年 16:00





発見


交通量の多い4号オーバーパスと、50号の交差点。
側道、右折可信号、など整備されてるが、高架下なので見とおしづらい立体交差点。
いつもように通過しようとすると、横転軽自動車、側面衝突後のアルファード、散乱したガラス、オイル染みがみえた。

被害者が座り込んでいるが、救急車両はまだのようだ。
交通量の多い交差点なので、手前部分に事故現場をガードするように自分の車両をとめる。
警察の人は交通妨害としていやがるけど、現場の安全確保のためには、こういう止め方も仕方がない。

おおきく損傷した車両は二台、ぱっとみて、右折する軽自動車(運転代行)と、
直進するアルファード(スノボ帰り)の事故とわかった。

「痛い」
横転した軽自動車のドライバーは、若い女性。横転した車両から自力で出たと。
「痛い痛い痛い!」とおおきな声をだして、典型的な上肢・鎖骨骨折後の体位をとっている。
話かけつつバイタルサインをチェックする。正常。
そもそも、はっきりした声で「痛い!」といえてる時点で、重症度は高くない。
「腕が折れてますね。痛いですよね。救急車両が来ますが、これで死んだりしないですよ。」と安心させる。

「錯乱」
僕はこの時点で同乗者がきになった。
助手席は、50代男性。錯乱していて、事故現場を歩き回っている。
話かけても、要領を得ないところがある。頭部を強打したようだが、おおきな体表の傷はない。
失見当識だ。「いまはいつ」「どういう事故だった」「ここはどこ」がちゃんとこたえられないし、一定しない。
脈拍呼吸は正常。事故現場を歩き回ろうとしてあぶないので、とにかく座らせる。
こういう人は、体のどこかをさわっていると、抑制ができる。
ごく簡単な診察では明らかなほかの神経所見はなさそう。とはいえ、脳圧があがっててもわからない。
時間がたつと、意識が清明になってくる。衝撃による一過性と思ったが、とにかく座ってるように言い、
周りのひとにも目をかけてもらうようにお願いする。寝かせるとか、当然ムリなので。

「動揺」
今度は、アルファードの方。若い男性が運転し側面ヒットした。
男性は、免許取り立てスノボ帰りの事故。動揺しているが、「どう対処したらいいかわからない」という動揺。
「こういう時は誰でもびっくりしますよ」とか、
「いま、必要な書類はこれです」
「ドライバーのあなたは警察署で調書を取ることになるし、遅くなるかもしれないですね」
「同乗の彼女は、家族に迎えにきてもらったほうがいいです」
みたいな実際の説明をしてあげると、だんだんと落ち着いてきた。

「涙」
後部座席の若い女性は不意打ちだったので車内で顔面をぶつけた。
アルファードは側面エアバッグが全部開いていた。とにかく、「怖くて泣いている」。
簡単に傷を確認して、「おおきなけがはないですよ」とか、「僕は医者です」などと説明する。
「一番信用できる人は誰ですか」ときくと、「父です」という。
その場で、電話して、迎えにきてもらうようにしてもらった。
そもそも、
「事故車両じゃ自宅まで帰れない」
「軽症なら救急車のるよるよりも家族と近くの病院にいくほうが利便性がある」
「同乗者はおおきな事故でもほとんど調書を取らない」とか、知らないのが普通。
事故現場のたびに、いつもおなじようなことを話している気がする。

発煙筒、三角表示板などをつかって二次被害を予防しつつ、警察車両をまつ。
到着後、彼らは砂をまいてオイルを処理し、レッカーなどの手配をはじめた。



僕は一人しかいない。こういう時には、時間をかけずに、どんどん緊急度を決めないといけない。
誰かの面倒をみている間に、見てないところで、何かが起きてるかもしれない。
教科書みたいなトリアージはきれいごとだ。ほんとの現場では時間が全くかけられない。

一番痛がってる、若い女性は、僕は実際は、「中等症だ」と思った。
骨折してた若い女性は、病院ついたら鎮痛剤をうって外固定だろうし、若いんでオペするかもしれない。
現場のトリアージでの緊急度は高くない。

一方で、錯乱してる男性は、「重症の可能性がある」と思った。
錯乱状態の男性の、不気味な言動がとても印象的だった。この方が、実際は緊急度が高かった。
いきなり、意識レベルが低下して呼吸停止してもおかしくなかった。かなり僕は緊張してた。


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