emergent call record
事件記録簿 / Jichi Med Univ(JAPAN)
交通優先と社会優先
現場 自治医大大学前
時間 2021年 10:00
発見
自治医大の職員車両の出入り口、動線が歩行者・大学入庫車両・病院駐車場入庫・県道の車両、と
クロスしていて危険度が高い。歩行者保護の信号があるが、大学と駐車場入庫は一時停止で管理されていて、
信号と独立している。非常にわかりづらいが、下野市は予算枠が小さいのか改善されていない。
出勤途中、信号の車列でまってると、大学から出てくる左折一般乗用車がみえる。一時停止している。
横断歩道の信号、県道の自動車、左方をドライバーが注視してる。歩行者は少ないので、
右方への配慮を無意識に忘れていたのか。出入りの業務車両だとわかる。
そこに右側から自転車がやってくる。自転車は一般的な速度でこがれていて、
「こちらの方が優先だし、自動車はとまってる」と思ったのだろう。そのまま自動車のまえを横切ろうとした。
僕は、「あ、危ない!」と直感。お互いの視線があってない。
「クラクションを鳴らすなりなにかすべきか、でも、遠い、、」と考えた瞬間嫌な予感が的中した。
横切る瞬間に自動車が発進して軽く接触した。僕は近くに自車をとめて、現場にすぐむかった。
被害者・加害者
自転車のひとはぱっとみてわかるケガはない。自転車の損傷も軽微。
しかし、いつもよくみる交通事故とそのあとの反応が少し違う。
自転車の人が「いいです、いいです!」としきりにいってる。
僕が身分をあかして、体の異常をみる間もしきりに恐縮してる。
話をきくと、零細の孫請け企業の人のようだ。廃品回収とか解体の仕事。
ぶつけた、自動車のほうは、わりと大手の出入り業者。
もちろん、僕が職員であることを言ってるので、逃げたりはしないが、
「いいです、っていうなら。。。」という感じで無いことにしたい。
もちろん、交通法規ではドライバーが100%悪い。自転車が100%優先。
通報されたくない
僕は、事故処理を公的なかたちにしておくことをすすめるが、自転車の人が、「迷惑なのでいいです」と。
結局、名前を言わずに立ち去ってしまった。自分が、仕事をもらってるところでの事故なので、という印象を強くうけた。
ドライバーはそれをみて、足早に立ち去った。
僕はナンバーをみて、メモにとり、大学の警備と管理部署に情報共有した。
後ほど、警察から情報照会があったときのため、だ。
これも一つの現実だ。僕はすごく腑に落ちないが、当事者を無理にとめることもできない。
僕が通報しても、なんもおきない。
事故現場をみていると、人間関係だったり、社会の構図が伝わってくる。
お互いの利害がぶつかる場面なので、本音が出やすいんだろう。
そんなに、人間なんてきれいじゃないといつも思う。